第33番札所 華厳寺 


山号:谷汲山

◆本尊:十一面観世音菩薩

◆開基: 豊然上人、大口大領

◆開創年:延歴17年(798) 

◆住所:岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲徳積23

◆御詠歌「いままでは おやとたのみし おいづるを ぬぎておさむる みののたにぐみ」「よろずよの ねがいをここに おさめおく みずはこけより いずるたにぐみ」 「よをほとけのしるし ありければ まだ ともしびも きえぬなり」

◆西国札所めぐりも、ここ谷汲山で満願打ち止めとなる。多くの日数と長い道のりを経てここまで来ると、ほっとした嬉しさとありがたさをしみじみ感じ、いろいろの思い出で一杯となる、らしい。

◆満願になると、本堂の柱に掛けられている青銅製の「精進落としの鯉」に手を触れ、本堂左手の笈摺堂に笈摺、菅笠、杖等を納めて普通の生活に戻った。感慨一入であったであろう。花山法皇の笈摺として伝わっているものもあり、奉納された絵馬や千羽鶴で笈摺堂は一杯である。
<「おいづる」=笈摺=巡礼者が着物の上に着る、袖無羽織に似たうすい衣、背の摺れるのを防いだという。おいずる。>

◆寺伝によると、奥州会津の大口大領という人が、京都で十一面観音を作らせて郷里へ帰る途中、谷汲まで来たら、観音様が動かなくなった(?)。大領はここを結縁の地として、すでにこの地で修行中の豊然上人とともに一寺を建てて、この観音様を祀ったことによるらしい。

★★一言感想★★長い門前町が続く。仁王門をくぐると両側に108の石灯籠が並んでいた。奉納旗もひるがえっていた。老杉、古樹に覆われて境内は荘厳さを感じさせる。堂内の内陣の床下は戒壇めぐりになっていた。信じるものをもたない多くの現代の人は、己に降りかかる悲しみをどうして癒すか、これが課題の一つである。
ここで一句……
「◆五月雨  煩悩洗う 谷汲山 ◆春の雨 満願を得る 喜びあり」