第5番札所 葛井寺

★第5番葛井寺山号紫雲山である。大阪府藤井寺市藤井寺一丁目に位置する。

★国宝の本尊は十一面千手千眼観世音菩薩、天平仏である。像を粘土で作り、その上に布を貼り、漆でかため、あとで中の粘土を取り出して空洞とした造り方、すなわち脱乾漆造りの塑像である。小さな手の数が千本、その掌に眼が一つずつ、まさに千手千眼である。

★この地方(?)は早くから文化が開け、飛鳥・奈良時代には百済系の渡来者が定住、発展した。葛井寺百済の王族、王仁(わに)一族の葛井氏が天皇の崇仏政策を支持し、国家のために創建したものである。

藤井寺ともいわれるのは、永年元年(1096)寺が荒廃していたのを嘆いて、大和飛鳥加留(かる)の里の藤井安基(やすもと)が伽藍の大修理を行った。このときから藤井氏の姓をとって呼ばれるようになった。

★境内は昔と較べると狭められたとはいえ広々とゆったりとした雰囲気を漂わせている。周囲は、住宅と商店で一杯であるため、ここが市民の憩いの場であり、子供たちの遊び場となっている。庶民的な気軽さ、気安さが昔からこの寺の持ち味となっている。

★御詠歌「まいるより たのみをかくる ふじいでら はなのうてなに むらさきのくも」