第6番札所 壺阪寺(南法華寺)

山号が壷阪山であり、寺号が南法華寺である。いつしか山号で呼ばれるようになった。それだけ通称で親しまれているということだろう。しかし地元でも正式名称、南法華寺は知らない人も多いそうだ。

橿原神宮の東側、国道69号線を吉野に向かって南へ進んでいくと、標識があり樹々の生い繁った中に入る。真っ白い大きな観音様の石像が目につく。インドから招来された観音様で、地上20mの花崗岩の大石像である。

平安時代の「感霊録」によると、ご本尊の十一面観音菩薩は特に眼病に霊験あらたかな仏として篤い信仰を集めていた。浄瑠璃や歌舞伎で、国内はもとより海外までよく知られた「壷阪霊験記」の説話、すなわち、盲目の沢市の眼を治すため、妻の里が壷阪寺に祈願し、開眼するという、お里・沢市の夫婦愛の物語りの舞台もこの寺である。

奈良県高市郡高取町壷阪三がこの寺の住所である。真言宗豊山派に所属する。本尊は千手観世音菩薩である。

★詠歌
「いわをたて みずをたたえて つぼさかの にわのいさごも じょうどなるらん」