第31番札所 長命寺

山号:姨綺耶山(いきやまさん)

■本尊:千手十一面観世音菩薩

■開基: 聖徳太子

■開創年:景行20年(91) 

■住所:滋賀県近江八幡市長命寺町157

■御詠歌「やちとせや やなぎにながき いのちでら はこぶあゆみの かざしなるらん」

■通称は、健康長寿の母山と称している。

近江八幡の水郷を通り抜け、長命寺の石段下に着くと、前は琵琶湖の湖水が近くまで来ており、うしろの石段を808段上ると、本堂前に至る。本坊前まで自動車で行くことができる。石段があと僅かになると、左手に本坊があり、少し上がると手洗水があり、口をすすぎ、手を清めて上ると、正面に本堂、右手に三重塔、左手に三仏堂がある。

■本堂は、十二間四方の単層入母屋造り、檜皮葺、総朱塗の堂々とした建物で、大永2年(1522)の再建である。国宝に指定され、聖徳太子自作の本尊を祀っている。

■境内から眺める琵琶湖は美しい。長い石段を上がってくると、緑の枝の間から見え隠れする湖水の輝きも、木々の間を渡ってくる風にも、特別の心地よさとありがたさが感じられる。

滋賀県は地理的に日本の中心あり、滋賀県の中心が、この姨綺耶山(いきやまさん)である。ここは、かつて琵琶湖の中で一番大きな島であった。それ故、神体山であり、人間のヘソ的存在である、とパンフレットには書かれている。

■住職が代々「武内(たけうち)」姓を名乗るのは、武内宿禰(たけうちのすくね)の末裔だからという。「寿命長遠諸願成就」がご誓願の本尊(観音さま)だから、多くの参詣者がある。

★★一口感想★★シャガ(著莪)の草花が石垣の手前の土手や花壇に植栽されていた。なんとなくではあるが、お寺にふさわしい白い花である。お寺さんの食堂(お休み処)で草モチを食べて疲れをいやした。長距離の運転や早朝の出発など、疲れが身体の全てに貯まっているようであったからである。一句……「夕べ著莪(シャガ) 見下ろされいゐて 露こぼす」(中村苑子