薬師寺の旅の思い出

★ 三月九日(木)の午後九時すぎ、大阪行き特急日本海4号海4号のA寝台で奈良に向かった。久しぶりの旅行である。京都には次の日の十日、午前九時二十三分に到着した。乗り継いで九時四十五分に出発し、奈良・西大寺に十時十三分に、乗り換えて西の京へ二十六分に着いた。薬師寺で写経をするためである。
 A寝台は二回目であるが、よくできている。シャワーや自動ロックなど至れり尽くせりである。が、やっぱり環境の変化について行けないところがあり、よく眠れなかった。
★ 薬師寺での写経は、妻の所望であったが、自分も第一巻の筆をもつこととなった。般若心経だと思うが、なかなか時間が掛かるし、文字も毛筆ということで、鉛筆のようにはいかなかった。約一時間もかかっただろうか。何も考えない無心の時間を持てたことが何よりであった。
★ 薬師寺での写経の作法には、輪袈裟をし、丁子を噛んで体中を浄化し、香象を跨ぎ経机に向かって起筆する。はまりそうになる。三巻で手帳がもらえるようである。また、再建のための寄付も兼ね、料金が二千円である。
★ さて、次に唐招提寺に徒歩で向かった。途中の大納言という食堂でうどん定食を七百円で腹に収めた。修復中なのでビデオを観賞したり、庭園を散策した。
★ 奈良観光センターでお水取りのビデオ鑑賞、今晩の宿泊地のワシントンホテルには、午後四時四十分に投宿した。
 ▼ 心澄み 写経終わりて 梅の花
 ▼ 薬師寺の 甍をバックに 梅かおる
 ▼ 仰ぎ見る 宝輪の先の 春の雲
 ▼ 輪袈裟して 心一点に 春写経
 ▼ 春浅き 唐招提寺の 初音かな
 ▼ さや堂で 囲まれし寺の 浅き春
 ▼ センターで 観るビデオの お水取り