牛丼を変えたコメ

◆今回、読んでみた書籍は、文庫本スタイルの僅か 200ページに届かないものである。
◆「まえがき」に著者も書いてあるが、外食産業ではいかにコストを削減するかが、至上命題だというのだ。その食材には牛肉をはじめネギなど、数多くあるが、ハシやコメ(米)も、そのコスト削減の対象としているらしい。
◆そうした中で、注目されているのが、北海道産のコメ(米)らしいのである。最近北海道産の米は外食産業ばかりではなくて、今や一般家庭でも、もてはやされているという。
◆その謎を解くように、筆者は筆を進めていく。本書ではデフレで話題をまいた外食産業とコメ(米)との関係から始め、“きらら397”の交配に使われた、かつての主要なコメ品種がどうのように誕生してきたかを順に追っている。
◆「“きらら397”が誕生するまでを見ることで、この一世紀あまりの間にコメがどれだけの長足の進歩を遂げたかがわかるであろう。この数百十年で遂げてきたコメの進化について知ることは、いま曲がり角に立っている日本人とコメの関係を考える上で意義あることと考える。日頃われわれが口に運んでいるコメについての見方が少しでも変われば、さいわいである」としている。
◆表紙カバーに書かれている文章を紹介して、訪問者の一読を促したい。
●デフレの象徴と騒がれた激安の牛丼。低価格を可能にした要因は、牛肉ばかりでなく実はコメにあった。────“きらら397”は、昭和63年に北海道立上川農業試験場で開発された、いわば究極の品種。大量生産ができ、安価にして良食味。それは「北海道で美味しいコメは絶対に無理」といわれた常識を見事に覆したブランド米である。
●その開発の裏には、品種改良に挑む研究者、あるいは地元農家の、不屈の努力があった。
◆著者…足立紀尚(あだち・のりひさ)